探偵および自称探偵による個人情報流出事件を検証
逗子ストーカー殺人事件では、小堤英統(こづつみ・ひでと)容疑者が、被害者の結婚後の住所を調べるにあたり、インターネットの掲示板や探偵を利用したことが判明した。
中でも、最終的に住所を特定したのが小堤容疑者から依頼を受けていた探偵であったことが世間を騒がせたとともに、探偵業界にも大きな波紋が広がりました。
極一部の違法業者の行なったこととはいえ、総合探偵社プログレスでは今後二度とこのようなことがないように「探偵」が起こした違法な個人情報流出事件を検証します。
探偵に依頼するまでの経緯
小堤容疑者は、元交際相手に対して復縁を迫り、断られると執拗にメールを送り、中には「殺す」といった脅迫の内容も数多く含まれていた。
既に結婚をし、苗字も住所も変わっている被害者の三好さんはストーカー被害を警察にも相談し、逗子市役所にも住民票の閲覧制限をかけるなど、可能な限りの対策をとっていました。
ところが、自分や家族を守るために行った警察への相談が結果として裏目に出てしまった。小堤容疑者は平成23年6月に脅迫容疑で逮捕されることとなったが、このとき逗子署は逮捕状を読み上げる際に、当時小堤が知らなかった結婚後の「三好」という姓と逗子市という住所の一部を小堤に読み聞かせてしまった。
脅迫容疑については裁判の結果、懲役1年執行猶予3年の判決を受け、同年9月に釈放され自由の身となった小堤容疑者は逮捕の際に警察が読み上げた情報を基に、三好さんの行方を執拗に探し始める。
質問サイトへの投稿や元勤務先へのメールで問い合わせるなどをし、大手ポータルサイトのサービス「Yahoo知恵袋」を利用したことは報道でも大きく取り上げられた。
インターネットなどでは三好さんの住所を特定することができなかった小堤容疑者が次にとった手段が「探偵」でした。
人探し(行方調査)は探偵の主要サービスの一つで、小堤はこれ利用して三好さんの正確な住所を調べようとしたわけです。
行方調査を探偵に依頼
こうして小堤容疑者は千葉県八千代市の探偵業者に三好さんの住所を調べるように依頼をしました。
まず一つ目のポイントはここにあります。
この事件の後「探偵はストーカーや犯罪者の依頼まで受けるのか!」といった指摘をされる方がいらっしゃいましたが、これは全くの誤解。探偵は探偵業法によって”犯罪行為、違法な差別的取扱いその他の違法な行為”に関わる調査をすることはできません。もちろん、これは法律で定められていなくとも真っ当な探偵社であれば当然のことです。
小堤容疑者が「私はストーカーです。これから殺人事件を犯します」と言って探偵に依頼し、探偵がそれを受けたなんてことはあるはずもなく、ネットの時と同様に「昔お世話になった」などともっともらしい理由で依頼したことは容易に想像できます。問題はその嘘をどれだけ見破ることができるのかということにかかってきます。
人を探すこと自体に違法性があるわけでなく、家出した家族や連絡が取れなくなった債務者など、探さなければならない正当な理由はいくらでもあります。問題はこれらの信ぴょう性をどこで見るかということ。
最も大切なのは各探偵社の基準です。ご相談者のおっしゃる「探さなければいけない理由」や「ご関係」「正当性」さらにこれらのお話を裏付けるだけの話のつじつまや物件。全てを総合的に判断して嘘偽りないと確信が持てたものだけお受けして、そうでないものはお受けしないといった姿勢がなければこういった事件が繰り返されてしまうでしょう。
依頼を受けた探偵社は自社で調査を行うのでなく、他の探偵業者に再依頼をした。
再依頼を受けた探偵業者は東京都目黒区の調査会社「アスク・ミー」。
この実質的経営者である小浜博敏容疑者(59歳)が平成25年11月6日、愛知県警捜査にかによって不正競争防止法違反(営業秘密侵害)の容疑で逮捕された。
報道によると小浜容疑者は携帯電話や車の車両ナンバーなどをもとに氏名や住所を調べ1件数万円で売買することを専門にしていたという。
もしこれが事実なら、少なくとも我々探偵業界の人間は彼を「探偵」とは言わない。いわるるデータ屋や情報屋のたぐいといっていい。
報道では「探偵」と言っているます、決して探偵ではありません。
また、探偵は探偵業法により必ず届出をしなければならないことになっていますが、この届出もしていなことが11月8日にわかった。やはり「探偵業者」ではない。
あくまでも探偵というのであれば「自称探偵」の「違法探偵業者」ということになる。
過去に遡れば平成12年には、犯歴調査の(対象人物の前科などを調べること)の情報提供の見返りに、情報提供者の警察官に200万円を渡したものとして贈賄容疑で逮捕・有罪判決を受けている。
「探偵」には絶対になければならない、倫理もモラルも全持ち合わせていない人物ということがよくわかります。
今回の逮捕容疑は今年春ごろ、千葉県内の女性の親族を装って同県内のガス会社に電話し、不正に世帯主の情報を入手したというもの。これは逗子ストーカー殺人の件ではなく別の事件だが、小浜容疑者が逮捕されたのは
奇しくも逗子の事件からちょうど1年目にあたる。
翌、平成26年1月には逗子ストーカー事件での被害者住所の情報漏えいの経緯が明らかとなってきた。
小浜容疑者は逗子の事件の前日、平成25年11月5日午前11時頃、三好さんの親族になりすまし逗子市役所納税課に電話し、対応した職員から三好さんの住所を聞き出したとされる。なお、この行為は”嘘をついて必要のない業務をさせ、結果として業務を妨害した罪”偽計業務妨害にあたる。
平成26年1月24日、愛知県警捜査二課は同容疑が強まったとして、小浜容疑者を再逮捕した。
ここの夜、逗子市の平井竜一市長は市役所で記者会見をし、殺害された三好梨絵さんの個人情報が市役所から外部に流出したことを初めて認めた。
「容疑者が夫を偽り個人情報を不正に入手し、犯罪に使用したことは誠に遺憾」と表明し、三好さんに対し「あらためて心からお悔やみ申し上げる」と述べた。
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