ストーカー行為等の規制等に関する法律 その7
ストーカー規制法第十一条・第十二条は警察組織内の規定、第十三条から第十五条では罰則が定められています。また第十六条ではこの法律の運用に当たって、国民の権利等を侵害しないように留意することなどが規定されています。
第十一条(方面公安委員会への権限の委任)
この法律により道公安委員会の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、方面公安委員会に委任することができる。
道公安委員会とは北海道公安委員会のことで、他府県と違い非常に面積の広い北海道については北海道公安委員会の事務は各方面にの公安委員会に委任できるといった内部の事務の話ですので詳細は割愛します。
第十二条(方面本部長への権限の委任)
この法律により道警察本部長の権限に属する事務は、政令で定めるところにより、方面本部長に行わせることができる。
対象が公安委員会と警察本部長の違いであって、前第十一条と内容はほぼ同じです。
第十三条(罰則)
ストーカー行為をした者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
ストーカー行為をしたものに対する刑罰の規定です。
六月とは六ヶ月という意味ですので、六ヶ月以下の懲役もしくは50万円以下の罰金のどちらかということになります。
2 | 前項の罪は、告訴がなければ公訴を提起することができない。 |
告発と告訴は非常に混同しやすいのですが実は大きな違いがあって、「告発」は誰でもできますが「告訴」は告訴権者しかできないといった違いがあります。告訴賢者とは簡単に言えば被害者。つまり、被害者から訴えが出されない限り警察は手を出すことができないということです。なお、こういった罪を親告罪といいます。 |
第十四条
禁止命令等(第五条第一項第一号に係るものに限る。以下同じ。)に違反してストーカー行為をした者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
被害者等の申し出によって「警告」が発せられ、さらにストーカー行為をしたことで「禁止命令」が出たとします。先にも触れましたが、この禁止命令は行政処分であって「守らなければならないもの」です。したがって、その命令に反違反たということで1年以下の懲役、もしくは100万円以下の罰金のどちらかに処されるということです。
なお、禁止命令に背いた場合は先の親告罪には当たらないので、告訴なくして逮捕・起訴が可能となります。
2 | 前項に規定するもののほか、禁止命令等に違反してつきまとい等をすることにより、ストーカー行為をした者も、同項と同様とする。 |
前項と同じことですね。 |
第十五条
前条に規定するもののほか、禁止命令等に違反した者は、五十万円以下の罰金に処する。
これも第十四条と意味が重複するようですが、「前条に規定するもののほか」と言っています。
前条に規定するとは「禁止命令に違反してストーカー行為をしたもの」ですので、これ以外、つまり、禁止命令には違反するが「ストーカー行為」ではないことということになります。
ちょっと意味不明なようですが実はこういうことです。
ストーカー規制法上の「ストーカー行為」とは「つきまとい等」を「反復」した場合、はじめて「ストーカー行為」となります。では、禁止命令が出た後に、一回だけ「つきまとい等」をしたら・・・そう、これはこの法律上の「ストーカー行為」でありませんが罰せられますよということです。
第十六条(適用上の注意)
この法律の適用に当たっては、国民の権利を不当に侵害しないように留意し、その本来の目的を逸脱して他の目的のためにこれを濫用するようなことがあってはならない。
これは、強力な公権力の行使となるこの法律の適応にあたって、国民の権利を不当に侵害しないように注意して行いなさいということです。
☆以上がストーカー規制法です。実際には「附則」というものがありますが、これはこの法律の施行や条例との関係等を定めたものですので割愛いたします。